山梨学院大学国際共同研究センターと中国のアモイ大学(厦門大学)国際関係学院?南洋学院が共催する国際シンポジウム「ポスト?パンデミック時代の東アジア国際協力について」が6月24日、本学クリスタルタワ-にて開催されました。

 青山貴子学長は開会の挨拶において、アモイ大学国際関係学院?南洋学院から一行5人の学者の来訪を歓迎し、国際共同研究センターは外国の学者とこのような学術交流を通してアジアの国際協力に対する相互理解を深め、日中両国の具体的な相互連携へ寄与することを期待していると述べました。アモイ大学国際関係学院?南洋研究院副院長高艶傑教授も開会の挨拶を述べ、今回のシンポジウムは、中日米三ヵ国の学者が参加し、国際社会における最も重要な三ヵ国間の競合関係を検討することは、非常に重要な意義があると指摘しました。

 シンポジウムでは、まず趙全勝?アメリカン大学教授、山梨学院大学国際共同研究センター学術顧問による「米中両国の競争と協力による国際秩序への影響について」と題する基調講演が行われました。講演の中で、趙顧問は、「中国の経済?軍事成長は止まらない、太平洋全域のパワートランジションプロセスは止まらない、『台湾カード』を使って中国の発展を阻止するアメリカの超党派の決意は止まらない、近代化実現に向けた中国の決意は止まらない」という4つの 「ノー?ストップ」をもって、米中両国関係のこれからの趨勢を予測した上で、衝突を避けるために両国は新しい付き合い方を模索してゆき、世界秩序の新たな局面が形成される可能性を指摘しました。

 シンポジウムは3つのセッションに分けて展開しました。第一セッション「米中デカップリングと国際協力の行方」においては、東秀忠?山梨学院大学経営学部教授、国際共同研究センター研究員が「モビリティ?イノベーションにおけるグローバル競争とローカル競争のせめぎ合い:プロダクト、インフラ、都市計画、制度の関わりから」と題する報告を、続いて張淼?アモイ大学国際関係学院?南洋研究院副院長、准教授が、マレーシアの製造業に対する中国の投資を焦点に、「マレーシアの製造業における外資の波及効果に関する研究―中国と日本の比較の視点から―」をテーマに報告を行いました。

 第二セッション「RCEP における中日韓協力」においては、金向东?アモイ大学国際関係学院?南洋研究院准教授が「RCEP における日中韓ハイテク分野の協力研究」と題する報告を、劉曙麗?国際共同研究センター研究員、山学大経営学部准教授が、「RCEP 発足の経緯と利用状況ー日本側のデータによる分析」と題する報告を行いました。

 第三セッション「東南アジア地域における大国間の競争と協力(歴史と現状)」においては、包広将?アモイ大学国際関係学院?南洋研究院准教授が「大国間競争に対応するASEAN のパワーロジック:リレーショナルから構造へ」と題する報告を、古屋亮山学大経営学部教授が、「東南アジア農村開発の特殊性~南タイを事例として~」と題する報告を行いました。

 熊達雲国際共同研究センター長が総括を行い、21世紀は、アジアの世紀だといわれているように、アジアの重要性がますます注目を浴びていると指摘し、世界は多極社会に入り、GDP2位の中国と3位の日本はこの中でさらに重要な役割を果たすとし、アジアの平和と更なる繁栄は、域外の国よりもアジア諸国自身の連携と協力によってしか実現できないとまとめました。

 最後に、太郎良留美社会科学研究科長が閉会の辞を述べました。太郎良教授は、異なる国家の学者によるシンポジウムのような民間交流を通して意見を交換し、未来を展望することは相互理解を深めるだけでなく、実効的な取り組みをする上でも重要な意義を持つと指摘しました。

 今回の国際シンポジウムでは、国際共同研究センターの研究員、客員研究員以外にも、学内外の教職員、学生、市民の多くが来場し、報告者と活発なディスカッションが行われました。シンポジウムの開催により、山梨学院大学とアモイ大学間の学術交流が促進されたのみならず、地域社会への貢献とも繋がり、大きな成果を上げることができました。